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【古歌59】・・古歌に学ぶ生き方



  カネカネと
   騒ぐうちにも 年は暮れ
   我が身は墓に 入り相(あい)の鉦(かね)


【歌の意味】

人生もカネカネと騒いで追っかけているうちに、墓に入ってしまう歳になってしまったよという趣旨です。


確かにこの世で生きていく以上、お金の大切なことは誰でも知っていますが、それでも息の絶えるまでカネカネと騒いでいるのは、何とも悲しいではありませんか。

少しは、自分の生きて辿ってきた人生を顧みて、自分の生れてきた意義を尋ねるぐらいの余裕は必要です。

光陰矢のごとし言われるように、月日は一日も待ってくれず、三百六十五日経過しますと、否応なく、一歳年をとり、すぐにお迎えが来る歳になるものです。

良寛和尚は

『ゆくりなく
 一日一日(ひとひひとひ)と 送りつつ
 六十路(むそじ)あまりに なりにけらしも』


と歌い、一生が終わるのは、瞬く間であるといっていますよ。




古歌に学ぶ
51 こと足れば 足るにもなれて なにくれと
足るがなかにも なお嘆くかな
52 山川の 末に流れる 栃殻(とちから)も
身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ
53 道のべの 草にも花は 咲くものを
人のみ徒(あだ)には 生まれやはする
54 身を思う 心ぞ身をば 苦しむる
身を思わねば 身こそ安けれ
55 いまごろに なに驚かん 神武より
二千年来 暮れていく年
56 色黒く 顔の悪しきは 生まれつき
直せば直る 心直せよ
57 知るとのみ 思い知りても なによりも
知られぬものは 己なりけり
58 雨そそぐ 軒の下石 くぼみけり
かたき枝とて 思い捨てめや
59 カネカネと 騒ぐうちにも 年は暮れ
我が身は墓に 入り相(あい)の鉦(かね)
60 もちゃつかぬ 家は餅つく 年の暮れ
もちゃつく家は 餅つかぬなり



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