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【古歌91】・・古歌に学ぶ生き方



   池水に
    はじめのうちは 降り消えて
       凍るかたより 積もる白雪




【歌の意味】

雪の降り方を見て、人間社会の善悪の積み重ねも同じようなものであるとたとえている歌です。


12月も中旬過ぎになりますと、いつ雪が降ってもおかしくはありませんが、最近では温暖化のせいで、大雪が降っても積もることは少なくなりましたね。

それでも、冷え込みが厳しい日には、夕方から朝方にかけて夜通し雪が静かにシンシンと降りしきりますと、朝には一面の銀世界になっていることに、驚かされることもありません。

この歌は、寒い日の静かな山中の小池に音もなく降り続く白雪を、しーんとした静かなたたずまいの中で見つめながら、人間社会の是非善悪にたとえて歌いあげたものと思われます。

かの有名な「徒然草」を書いた吉田兼好は、
「人は人のうえをのみはかりて、おのれを知らずなり」と
言っています。

私たちは自分だけは他人よりもしっかりと己を知っていると思っているかもしれませんが、ほんとうは自分のことだけは何も知らないで、そして知らないうちに悪を重ねたり、過ちを犯したりしているものです。

そんな過ちにも、
@ まったく自分で気づかない過ち
A 気づいていても、小さなことだからと思ってやり過ごす過ち

の二通りがありますが、それが過ちであるからには、いずれにしても、過ちは過ちとしてあとに残るものです。

「善も積まざれば、名をあらわすにいたらず、
悪も積まざれば、身を滅ぼすにいたらず」
という言葉があります。

それはそのとおりで、たとえ自分がまったく気がつかない過ちでも、
ちょうど淡雪が絶え間なく降り続くと、降りおりたところから少しずつ地面が凍り、ついには白雪が積もるように、過ちも絶え間なく犯し続けると悪となり罪となって身を滅ぼすと、この歌は教えています。




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